2024年以降のAI半導体ブームで世界の半導体業界の主役に躍り出たのが、韓国の Samsung Electronics(サムスン電子)と SK Hynix(SKハイニックス)の2強です。特にAI半導体に必須のHBM(高帯域メモリ)では両社合わせて世界シェア90%超を握り、業績・株価ともに記録的な水準を更新中。半導体商社で4年の出張経験を持つ筆者が、韓国2強の最新動向と日本人投資家の関わり方を整理します。
- SK Hynixの株価は1年で約3倍に急騰、時価総額9,000億ドル超え
- SK Hynix Q1 2026業績は営業利益が前年同期比+405%、営業利益率72%という製造業の常識を超える数字
- Samsungは業界初のHBM4をNVIDIAに量産供給、HBM市場でSK Hynixを追い上げ中
韓国半導体2強の現状(2026年5月時点)
HBMで世界を支配
HBM(High Bandwidth Memory/高帯域メモリ)は、NVIDIAのAI半導体に必須の高速メモリ。2025年Q4時点の世界シェアは以下の通りです(出典: Astute Group、TrendForce)。
- SK Hynix:57%(圧倒的1位)
- Samsung Electronics:35%(2位)
- Micron:11%(3位、Samsungを抜く勢い)
つまり、韓国2社で世界HBM市場の90%以上を握る状況。AI時代の半導体覇権の中心にいます。
SK Hynix(SKハイニックス)|HBMの王者
株価は1年で約3倍、時価総額9,000億ドル超
SK Hynix(韓国取引所: 000660)の株価は、AI需要を背景に2026年5月に過去最高値1,949,000ウォン(約21万円)を更新。年初来の上昇率は約197%、つまり1年弱で約3倍になりました(出典: TradingKey、BigGoファイナンス)。
Q1 2026業績は半導体業界の常識を超える
- 売上:52兆5,800億ウォン(前年同期比+198%)
- 営業利益:37兆6,100億ウォン(前年同期比+405%)
- 営業利益率:72%(半導体製造業の過去最高記録を更新)
営業利益率72%という数字は、製造業の常識を完全に超えるレベル。一般的に半導体メーカーの営業利益率は20〜40%程度で、TSMCの66.2%でも極めて高い水準と言われています。SK HynixのこれはHBM寡占の威力を象徴しています(出典: 日本経済新聞)。
アナリスト目標株価
- SK証券:目標株価300万ウォン(市場最高値)
- 野村證券:目標株価400万ウォンに引き上げ
- 平均アナリストコンセンサス:約177万ウォン
市場では「HBM供給不足は2028年まで続く」との見方が主流で、SK Hynixの業績は当面続く強気観測が支配的です。
Samsung Electronics(サムスン電子)|総合半導体の覇者
Q1 2026業績は過去最高更新
Samsung Electronics(韓国取引所: 005930)も、AI半導体ブームの恩恵を最大限受けています(出典: Samsung Global Newsroom、CNBC)。
- 全社売上:133.9兆ウォン(前四半期比+43%)
- 全社営業利益:57.2兆ウォン(過去最高)
- DS(半導体)部門売上:前四半期比+86%と急増
業界初のHBM4をNVIDIAに量産供給
SamsungはHBMで遅れを取っていましたが、2026年に大きな転機を迎えました。業界初の第6世代HBM4とSOCAMM2を、NVIDIAの次世代AIプラットフォーム「Vera Rubin」向けに量産供給開始。これはSK Hynixに対する大きな技術的逆襲となっています(出典: Samsung Global Newsroom、Korea Herald)。
総合半導体としての強み
Samsungの強みはDRAM・NAND・ファウンドリ・自社設計の四本柱を持つこと:
- DRAM:世界1位(約40%シェア)
- NAND:世界1位(約30%シェア)
- ファウンドリ:世界2位(TSMCに次ぐ、3nm量産中)
- 自社SoC:Exynosシリーズ
2026年通期予想は売上384兆ウォン、営業利益80兆ウォン。半導体部門だけで営業利益77〜93兆ウォンの見通しです。
SK Hynix vs Samsung Electronics の対比
| 項目 | SK Hynix | Samsung Electronics |
|---|---|---|
| HBMシェア | 57%(1位) | 35%(2位) |
| DRAMシェア | 約30%(2位) | 約40%(1位) |
| NANDシェア | 約20%(2位) | 約30%(1位) |
| ファウンドリ | なし | 世界2位 |
| 営業利益率 | 72%(驚異) | 40%超 |
| 株価年初来上昇率 | 約197% | +(記録的上昇) |
| 強み | HBM特化の集中投資 | 総合力・ファウンドリ・自社SoC |
なぜHBMが半導体業界の主役になったのか
HBMは「DRAMの一種」ですが、通常DRAMと根本的に違うのは「縦に積み重ねる立体構造」です。シリコン貫通電極(TSV)と呼ばれる技術で、DRAMチップを縦に8段・12段と積み重ねることで、超高速・大容量を実現しています。
NVIDIAのH100・H200・BlackwellといったAIアクセラレーターには、このHBMが必須。AI半導体1チップあたりHBMを8〜12個搭載するため、AI需要の急増がそのままHBM需要の爆発につながっています。
そしてHBMを量産できるのは世界でわずか3社(SK Hynix・Samsung・Micron)のみ。技術的・設備的な参入障壁が極めて高く、新規参入は当面期待できないため、3社の寡占構造が続く見通しです。
韓国2強と日本・米国メモリメーカーの対比
日本人読者にとって、韓国2強と国内・米国系メーカーの位置関係を整理しておくと業界全体が見えやすくなります。
- SK Hynix:HBM特化、AI時代の最大の勝者
- Samsung:総合半導体の覇者、ファウンドリでもTSMCに次ぐ存在
- Micron(米国):HBM3位、東広島工場で日本にも生産拠点
- キオクシア(日本):NAND専業3位、HBM未参入、株価は1年半で約37倍
キオクシアはHBM市場にいないため、AI時代の真の勝者は韓国2強+Micronの3社と言えます。ただしキオクシアもNANDのAI需要拡大の恩恵を受けており、株価は記録的に上昇しています(関連記事を参照)。
日本人投資家のための韓国半導体株投資ガイド
日本から購入する方法
韓国の SK Hynix・Samsung Electronics の株式は、日本の個人投資家には直接購入のハードルがやや高めです。主な選択肢は以下の通り。
- 韓国株対応のネット証券を利用(SBI証券、楽天証券、マネックス証券の一部が対応)
- 米国ADR:Samsung Electronicsには店頭ADR(SSNLF)あり。SK HynixのADRは流動性低め
- 韓国半導体関連ETF:iShares MSCI South Korea ETF(EWY)など、間接的に投資可能
- 半導体関連ETF:VanEck Semiconductor ETF(SMH)、iShares Semiconductor ETF(SOXX)に両社とも組み入れあり
個別株は手間、ETFが現実的
日本から韓国株を直接買うには、口座開設の追加手続きや為替(円⇔ウォン)など手間が多く、初心者にはETF経由がおすすめ。半導体ETFはNVIDIA・TSMC・SK Hynix・Samsungなどを一度に保有でき、分散効果もあります。
韓国半導体株のリスク要因
- AIブームの逆回転:NVIDIAの業績悪化・AI投資減速がHBM需要を直撃
- 米中対立:韓国は米国陣営寄りだが、中国向け輸出規制の影響を受ける可能性
- HBM供給過剰リスク:3社の増産競争が需要を上回ると、価格急落の可能性
- Samsungの追い上げ:HBM4で巻き返せばSK Hynix寡占が崩れる
- 地政学リスク:北朝鮮情勢、韓国国内政治の不安定化
- 為替変動:日本円建てでの投資は円⇔ウォンの為替リスクを伴う
- 株価のボラティリティ:1年で3倍になった分、調整時の下落幅も大きい
まとめ:韓国2強はAI半導体時代の真の勝者
韓国の Samsung Electronics と SK Hynix は、AI半導体ブームの最大の恩恵を受ける2社。特にSK HynixはHBM世界シェア57%、営業利益率72%という驚異的な数字を叩き出しており、まさにAI時代の半導体覇者と言える存在です。
この記事のポイント:
- SK HynixはHBM世界1位(シェア57%)、Q1営業利益+405%の爆発的成長
- SamsungはHBM4を業界初量産、DRAM・NAND・ファウンドリの総合力で巻き返し中
- 2社合計でHBM世界シェア90%超、AI半導体の供給を支配
- HBM供給不足は2028年まで続くとの見方が主流
- 日本からはネット証券の韓国株対応口座、ADR、ETFで投資可能
- リスクはAI需要の逆回転、米中対立、為替変動、株価ボラティリティ
韓国2強は、半導体出張族の目線では訪問機会が少ないため記事に登場しづらいですが、世界半導体業界の主役として絶対に押さえておくべき存在です。
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